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非上場企業の株価の評価方法はどう変わる?有識者会議#4の概要 【番外編】

2026.08.07コラム

今回のコラムでは、第四回有識者会議の番外編として、
第四回有識者会議の別添資料として提示されていた、株価圧縮スキームの「具体的なスキーム事例(事例を簡略化したもの)」を個別に確認していきたいと思います。

なお、第四回有識者会議の本編でも紹介させて頂いた通り、
挙げられていた事例に関して、大半の非上場企業において意識をしておくべきは、4スキームとなりますが、
提示されたスキーム≒課税庁が問題として取り上げたい現行ルールの問題点・新ルール適用までは総則6項を適用して取り締まりたいスキームとなりますので、
今回全ての事例を解説していきたいと思います。

◆別添資料に記載されている事例
問題視されている株価圧縮スキーム① 【子会社の会社規模操作による株価圧縮】
問題視されている株価圧縮スキーム② 【配当還元方式を利用できる株主の作出】
問題視されている株価圧縮スキーム③ 【会社規模操作による株価圧縮】
問題視されている株価圧縮スキーム④ 【子会社からの循環貸付により親会社の株価を圧縮】
問題視されている株価圧縮スキーム⑤ 【オペレーティングリースを活用した株価の圧縮】
問題視されている株価圧縮スキーム⑥ 【株主構成の操作により配当還元方式により評価】
問題視されている株価圧縮スキーム⑦ 【第三者を一時的に介在させて評価額を圧縮するスキーム】
問題視されている株価圧縮スキーム⑧ 【法人が貸付用不動産購入の3年経過後に株式を移転】

◆まとめ
・スキーム①とスキーム⑥に関しては、上場企業の創業者くらいしか適用できないため、通常の非上場企業には影響なし。
・スキーム④とスキーム⑦に関しては、確実にアウトな案件・現実的にあり得ない案件なので考慮する必要性は薄い。
・非上場企業の評価方法として、多くの会社に影響がありそうなスキームは、影響順に以下の通りです。
 ・問題視されている株価圧縮スキーム⑧ 【法人が貸付用不動産購入の3年経過後に株式を移転】
 ・問題視されている株価圧縮スキーム⑤ 【オペレーティングリースを活用した株価の圧縮】
 ・問題視されている株価圧縮スキーム③ 【会社規模操作による株価圧縮】
 ・問題視されている株価圧縮スキーム② 【配当還元方式を利用できる株主の作出】

◆各事例・スキーム内容

問題視されている株価圧縮スキーム① 【子会社の会社規模操作による株価圧縮】
(スキーム説明) ※提示された事例を更に要約しています。
・被相続人の持つ上場企業株式を現物出資することによりX社を設立。上場株式を非上場株式に転換。
・その後、相続人が持つ法人グループも活用しHD(X社)-子会社-孫会社体制を構築し、グループ間の会社規模調整・寄付行為等を行いX社の株価を大幅削減。
(筆者解説・所感)
スキームを駆使しなければ、上場企業株式の評価がそのまま相続税評価額になってしまうところ、現物出資により非上場株式に変換し、グループ内で諸々調整をすることで株価が安く算出されるように調整しているスキームとなります。
上場企業の創業者グループによくみられる租税回避(脱税)スキームであり、当然一般常識からしても絶対に許されるわけのないスキームですが、
件数としては非常に少なく、個人的には総則6項で全て対応してしまえば良いのでは、と感じました。

問題視されている株価圧縮スキーム② 【配当還元方式を利用できる株主の作出】
(スキーム説明) ※提示された事例を更に要約しています。
・親族株主であっても配当還元方式(簿価の約半額/配当の10倍)が適用される要件「議決権が5%未満」・「役員ではない」・「中心的な経営者一族(≒直系一族)でもない」を逆手に取り、直系株主(例えば後継者である長男)以外の親族(例えば後継者にならない長女や次男一族)に渡す株式を無議決権化し、配当還元評価で贈与(相続)。
・結果会社を経営する後継者一族は非常に少数の株式で議決権を100%維持でき、親族株主は低価格で株式を保持・配当を受けることも可能。
(筆者解説・所感)
歴史があり、株式が親族内で分散している老舗企業などで、現経営者一族による集約が難しい場合には議決権確保のために適用することのあるスキームですが、
ここは株価圧縮スキーム①とは異なり、実態を見て判断すべきスキームなのかなと思います。
ただ実務上は、節税を目的とした株式分散と、経営の安定を目的とした株式の集約とでは、後継者の労力は100倍ほど後者の方が大変となるため、長い目で見ると節税云々関係なく非常に悪手になってしまうと考えています。
孫の代になった時、「祖父が目先の節税を優先したために、自分の代でものすごく苦労した。」と言われる可能性が大です。

問題視されている株価圧縮スキーム③ 【会社規模操作による株価圧縮】
(スキーム説明) ※提示された事例を更に要約しています。
・既存の会社(Y)の上にHD(X)を設立し、グループ資産を移すことで株式等保有特定会社を外す。(評価が純資産評価から類似業種が使えるようにする。)
・従業員なども転籍させることで、Xを当初の資産管理会社(純資産評価が50%適用)から事業会社へ変えることで類似業種比準価額の適用比率を向上し、株価を提言。
(筆者解説・所感)
別添資料にて提示されていたスキームは海外子会社も活用した若干テクニカルな内容でしたが、HD設立⇒株特外し⇒規模の向上というスキームはある程度の規模がある非上場会社ではメジャーなスキームかと思います。あからさまに株価圧縮を目的にしているケースも散見されるため、課税庁としては手を入れたい領域なのかなと推察します。
ただ判断が難しいのは、事業上の理由でグループ体制を構築し、役割に応じて資産負債、人などの経営資源を各社に分配・移動することは当然あるため、それが結果的に株価を引き下げていたからといって税務否認してしまえば、企業の体制が税務に縛られてしまうというリスクがあります。
こちらも最終的には事業上の理由や体制移行のタイミング等を加味し、総則6項を活用して個別に判断をしていくしかないのかなと思います。

問題視されている株価圧縮スキーム④ 【子会社からの循環貸付により親会社の株価を圧縮】
(スキーム説明)※提示された事例を更に要約しています。
・当初から保有していた事業会社(Y社)の上にHD(X社)を設立。
・子会社Y社からX社にお金を貸し、更にX社がY社に借りた現金を寄付。(X社としては寄付分負債が増える)
・結果的に親会社は資産と負債がトントン(評価は無し)の会社、子会社は寄付を受けた分純資産は上がるが、事業を行っているため類似業種比準価額が適用され株価は圧縮される。
(筆者解説・所感)
専門家の見解としては、100%税務否認されるスキームであり、こんなセンスのないスキームを採用する会社があるの?!という見解でした。
こんな特殊な事例に引っ張られず、総則6項+重加算税対応で良いのではと感じてしまいますが、、、

問題視されている株価圧縮スキーム⑤ 【オペレーティングリースを活用した株価の圧縮】
(スキーム説明)※提示された事例を更に要約しています。
・相続対象法人にてオペレーティングリース資産(航空機など)を取得。
・初年度に多額の会計上の損失を計上し、簿価上の利益・純資産を圧縮した上で株式を贈与。
・その後リースバックにて当初の財務状態に戻る。
(筆者解説・所感)
要するに特殊な会計処理により最大瞬間風速で株価が激下がりするタイミングで株式を移すスキームであり、オペリースの紹介会社も株価が下がることを謳い文句に営業をしているケースも多く、巷では意外に多いスキームなのかなという印象です。
ただオペリースも資産の内容によっては事業上プラスになるケースもあり、判断は難しいかもしれませんね。ちなみに私は株式の移転タイミングが近い場合には敢えてオペリース資産の購入は控えてもらっています。
最近はHD設立と併せ、そのHDにオペリース資産を購入し、ダブルで株価圧縮効果を狙った悪質なケースも増えているため、確かに何らかの対応は必要になると感じました。

問題視されている株価圧縮スキーム⑥ 【株主構成の操作により配当還元方式により評価】
(スキーム説明)※提示された事例を更に要約しています。
・資産管理会社にて上場株式を保有。
・資産管理会社の株主構成を、創業家は各自5%未満・合計15%未満、他の85%を第三者(例示では上場会社の役員)株主にて保有する。
・資産管理会社に関しては同族株主がいない株主となり、全員が配当還元で資産評価される。(上場企業株価よりも大幅に圧縮)
(筆者解説・所感)
持株会が変形したような、理論上はあり得る節税スキームなのかもしれませんが、
どちらにしても上場企業の創業家くらいしか活用できないスキームであり、資産管理会社の運営難易度を考慮しても現実的なスキームではないため、
議論の必要性は無いと感じています。

問題視されている株価圧縮スキーム⑦ 【第三者を一時的に介在させて評価額を圧縮するスキーム】
(スキーム説明)※提示された事例を更に要約しています。
・創業者が保有している事業会社A株式の大半(例では60%)を配当還元評価額で第三者(従業員等)に譲渡。
・残りの株式(例では40%)を後継者へ贈与。
・その後第三者が60%部分を配当還元方式で事業会社Aに自己株買いにより売却
・結果的に後継者が100%の議決権を保有。
(筆者解説・所感)
なぜこのスキームを課税庁が例示として提示したのか理解に苦しみますが、税務上の話で言えば、第三者⇒A社へ売却時に低額譲渡に該当し、第三者に多額の所得税が発生しますし、後継者に関しては、第三者からのみなし贈与課税がされますので、結果的に後継者・第三者に莫大な税金が発生します。(これを勧める税理士は専門家としては論外です。)
また、会社運営上でも、議決権調整をせぬまま当該スキームを行うと、仮に第三者が離反した場合、創業者一族は会社を奪われることになりますので、現実的にはあり得ない話だと感じています。
スキーム⑥と同様、理論上は可能(現実的にはあり得ない)な、配当還元方式の問題点を指摘したいためだけのフィクションのような気がします。。。

問題視されている株価圧縮スキーム⑧ 【法人が貸付用不動産購入の3年経過後に株式を移転】
(スキーム説明)※提示された事例を更に要約しています。
・事業会社の上にHDを設立し、借入後収益不動産を購入。
・法人の場合、不動産取得から3年が経過すれば、相続税評価を評価額にすることが出来るため、3年経過後に時価>相続税評価額の仕組みを利用し、純資産価額を圧縮して株式を贈与。
(筆者解説・所感)
最近タイムリーに税務否認された事例ではありますが、不動産の時価と相続税評価額のGAPを狙った租税回避スキームになります。
個人の相続税の脱税にも多様されていたスキーム(個人は買った瞬間に相続税評価額を使用することが可能)であり、最近不動産の評価に関して改正(賃貸不動産は時価の80%で評価)が入ったものになりますので、その内容を法人における不動産評価に準用すれば解決できるのではと考えています。

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