コラム
組織再編スキームは、実行の前にまず計画を!
お客様を訪問した際、他のコンサルティング会社が持ってくる事業承継(組織再編)関係の提案書を見せてもらう機会が多くあります。
そこで感じるのは、HD設立支援・株式交換支援・吸収分割支援・合併支援など、
本来あるべき「計画策定」の議論を飛び越えて、最初から「実行支援」の提案を行っている提案書が非常に多いということです。
勿論経営者に強い希望があり、実施したい組織再編スキームが決まっている場合は実行から入るケースもあるのですが、
・そもそもHDを設立する意味がどこまであるのか。
・どの会社をHDとして活用するのか。
・HD設立後の各社の役割分担は?
など、単純に見えても検討項目は意外に多く、一度設立するとランニングコストも掛かり、元の状態に戻すことも大変なため、すぐに実行ではなく、まずは計画策定を行ってほしいと強く思います。
ちなみに提案書に計画策定が無く、実行支援のみが記載されている理由としては、
・コンサル会社(紹介元の金融機関等)にとって実現したいスキームが最初から決まっている。
・コンサル会社側で計画策定支援の進め方が分からない。
・再編の方が報酬が高く、計画策定によって再編が無くなるのが困る。
など、様々な理由が考えられますが、その大部分は売り手側の都合からくるものが多いです。
すぐに実行を行わず、計画策定を挟んだ場合、
実行支援のみに比べて計画策定分のコストは余分に掛かりますが、
無駄な再編の実行防止・目指す効果の実現可能性など、将来的な効果を考えると、簡単にペイすることが出来ると感じています。
「有名な金融機関やコンサル会社が勧めるスキームだから間違いないだろう。」とお考えの方も多いとは思いますが、両社とも営利会社であり、ノルマも設けられている等の理由により、第一優先は自社利益・第二優先がお客様利益でスキームを組んでいるケースも実態としては多いです。
最終的に煽りを受けるのは後継者であり会社になりますし、もし実行ありきの提案をされた場合には、
「他の選択肢も検討してみたい。自社にとってどの方法が最も良いのか、一緒に検討する期間を設けてほしい。」
というリクエストを出されることをお勧めします。
良くも悪くも非常にグループ全体の将来に影響を与える組織再編。
せっかく組織再編を行うのであれば、是非計画策定から始めましょう!