コラム
役員報酬はどのように決めるのが正解?
皆さまはご自身や親族の役員報酬、どのように決定されていますか?
中には他の親族や役員、従業員からの見え方を意識して、十分な役員報酬を取っていない経営者の方もお見受けします。
役員報酬に関しては、自身の生活の為という側面と、事業承継の為という2つの側面を持っています。
特に事業承継を控えた企業にとっては、後者の考えが必要不可欠です。
例えば「役員報酬・1億円」と聞くと、多くの方は「すごい貰っている。(自分の給料も上げて欲しい)」と感じると思いますが、
その企業の株式の相続税評価額が10億円の場合、相続税率を30%と仮定すると、株式の承継に係る相続税だけで3億ほどの税金が必要になります。
3億円を10年掛けて準備するとなると、3億円÷10年間=3,000万円/年の手取り額が必要となり、最高税率で額面に直すと、3,000万円÷0.45%(最高税率55%と仮定)=約6,600万円の額面が必要となります。
そうすると、仮に役員報酬を1億円貰っていても、実際には3,400万円ほどしか貰っていないこととなります。
更には後継者以外のご子息がいる場合には、そのご子息に残す財産も考慮して役員報酬を設定する必要があるため、役員報酬が1億円でも足りないという結果も想定できます。
このように、役員報酬を決めるにあたっては、
・生活資金
・事業承継コスト(株式の承継に係る税金)
・他の必要貯蓄額
を考慮の上、設定することが求められます。
本来は企業を継続するため、堂々と役員報酬を取ってもらって問題ないのですが、
他の親族や役員や幹部など、利害関係者の中には、上記の考えを理解していない方もいらっしゃるため、
そういった場合には事業承継の勉強会を開き、理解を深めてもらうケースもあります。
創業家の承継を円滑に進め、将来後悔しないためにも、早めの計画や設計が重要になります。